
※本レビューは ORIVETI様より製品をご提供いただき、実機を試聴した感想をまとめたものです。内容や評価に関する指示はなく、感じたままを率直に記載しています。
はじめに
ORIVETI(オリベッティ)は“Basic Line Exquisite Quality Kept(基本を押さえた高品質)”を掲げる bleqk シリーズを展開し、その中でも Purecaster は「Pure(純粋)」+「Caster(音を伝える)」という“音を加工せず、ダイナミックドライバーの素性をそのまま伝える”コンセプトのもと設計されたイヤホン。
過度に味付けをしない純粋な音を目指し、シングルダイナミックドライバーに集中することで、音源本来のバランス感や情報量を忠実に再現することを狙ったモデルとなっている。
ブランド・製品概要
ORIVETI とは
ORIVETI は中国のオーディオブランドで、幅広い価格帯の IEM をラインナップしています。bleqk シリーズはその中でも「基本性能に忠実で質感を重視した音作り」をコンセプトとしたラインとして位置付けられています。
Purecaster の立ち位置

Purecaster は 1 基の 12.2mm ダイナミックドライバーを搭載したシンプルな構成で、派手なチューニングをせずに音楽の自然な輪郭を描くことを目的としています。筐体は CNC 加工のアルミニウム合金を使用し、耐久性と質感にも配慮された設計です。
パッケージ・付属品

- Purecaster 本体(左右イヤホン)
- 着脱式ケーブル(0.78mm 2Pin)
- 3.5mm / 4.4mm スクリュー式プラグ
- 音響フィルター ×2(交換式ノズル:Balanced / Fidelity)
- シリコンイヤーピース(S/M/L × 2 種類)
- キャリングケース

付属品は、実用性と拡張性を両立した内容。ノズル交換によるチューニング変更やプラグ交換で再生環境を選ばない構成は、価格帯として非常に充実しています。
ケーブルはクセが少なく、取り回しも良好。音質的なキャラクターを強く主張するタイプではないため、リケーブルによる音の微調整も楽しみやすい構成です。
仕様・スペック
- ドライバー:12.2mm アルミニウム‐マグネシウム合金ダイナミックドライバー
- インピーダンス:32Ω
- 周波数特性:20Hz–20kHz
- 感度:112.5 ± 3dB/mW(1kHz)
- 歪率:< 0.08%
- コネクタ:0.78mm 2Pin 着脱式
- プラグ:3.5mm / 4.4mm 交換可能
- 付属イヤーピース:Bullet Shape A/B × S/M/L
スペック構成は、スマートフォン直挿しから外部 DAC/AMP まで広く対応できる汎用性を持っています。純粋再生を狙う設計でありながら、利便性も高められています。
装着感・ビルドクオリティ

Purecaster の筐体は CNC 加工されたアルミニウム合金シェルで、堅牢性と質感がしっかり感じられます。見た目は派手ではありませんが、安っぽさを一切感じさせない仕上がりです。

シェル形状は耳への収まりが良く、長時間装着でも圧迫感が少ない設計です。
軽量で疲れにくく、リスニング用としても安心して長時間使えます。
交換式ノズルによる音質変化

Purecaster には 2種類の交換式ノズルが付属します。 工具不要で交換可能な設計となっており、用途や好みに応じて 音のニュアンスを調整できます。
- Balanced ノズル
Purecaster の基本となるチューニング。 フラットで癖が少なく、帯域バランスに優れた自然な音作り。 モニター用途や長時間リスニングに最適。 - Fidelity ノズル
高域の抜けと空気感をわずかに強調。 解像度感や音の見通しが向上し、繊細な表現を楽しみたい場合に向く。
いずれのノズルでも Purecaster の基本思想は変わらず、 極端な音質変化ではなく、「質感の方向性」を微調整する設計です。
音質レビュー(Balanced ノズル基準)
全体傾向
Purecaster のサウンドは、ニュートラル〜やや自然寄りの傾向です。派手な演出がなく、音源のバランスを崩さずに再現するため、楽曲本来の音を素直に聴きたい人に向いています。
低域
低域は量感を強調するタイプではなく、 制御された沈み込みと明瞭な輪郭を重視した傾向です。 サブベースは自然に伸び、不要な膨らみがありません。
キックやベースはタイトで、楽曲全体のリズムを正確に支える印象。 迫力よりも精密さを重視した低域と言える。
中域
Purecaster の最大の魅力は中域にあります。 ボーカルは過度に前に出ることなく、自然な距離感で定位。 息遣いや声のニュアンスが非常に分かりやすく再現されます。
楽器の分離も良好で、帯域のつながりが滑らか。 シングルDDならではの一体感が強く感じられる。
高域
高域は刺さりを感じさせない、穏やかで上品な伸び方。 シンバルやストリングスの余韻も自然で、 長時間聴いても疲れにくいチューニングです。
Fidelity ノズルに切り替えることで、 この高域の透明感と空気感が一段階引き上げられます。
音場・定位
音場は極端なワイド感はありませんが、横方向に自然な広がりを持ち、左右の音像がしっかり区別できます。定位は非常に安定しており、各楽器や声の位置関係を把握しやすいです。
モニタリング用途にも有効で、楽曲の構造を確認するような使い方にも向いています。
エージング後の音質変化について
Purecaster は、ある程度のエージングを行った後で印象が安定するイヤホンだと感じました。
新品時は全体的にややタイトで、音の輪郭がはっきりしている一方、余韻や広がりは控えめに感じられる場面もありましたが、 使用時間を重ねることで音の角が取れ、より自然で滑らかな鳴り方へと変化していきます。
特に中高域の硬さが和らぎ、音の立ち上がりの速さは保ったまま、 余韻が自然につながるようになった点が印象的でした。
Purecaster が持つ「脚色の少ないサウンド」という方向性が、 エージング後にはより素直に表れてくるように感じます。
Fidelityノズル+半透明イヤーピース構成での音質評価
Purecaster には交換可能なノズルが付属しており、Fidelity ノズル に変えて試聴しました。
また、イヤーピースには付属の 半透明タイプのシリコンイヤーピース を組み合わせています。
この構成では、高域の表現が非常に整っており、 シンバルや弦楽器の高音成分がキラキラとした透明感を持ちながら、刺さり感なく伸びる印象です。
Purecaster 本来のクリーンな中高域の質感を活かしつつ、 音のエッジが鋭くなりすぎないため、長時間のリスニングでも安心して楽しめます。
一方で低域は、量感を過度に増やす方向ではなく、 程よい厚みと沈み込みを備えたバランスの良い鳴り方になります。 ベースラインやキックは必要十分な存在感がありつつ、 中域を覆い隠すことはなく、全体の見通しを保ったまま楽曲を支えてくれます。
この Fidelity ノズルと半透明イヤーピースの組み合わせは、 Purecaster の「自然さ」「透明感」「ダイナミックドライバーの素直さ」を 最もバランス良く引き出してくれる構成の一つだと感じました。 派手さはありませんが、音楽を丁寧に聴き込みたい場面では非常に相性の良いセッティングです。
向いている人・向かない人
向いている人
- 原音に忠実なイヤホンを求める人
- ボーカルや中域の自然さを重視する人
- 制作環境・分析用途で使いたい人
- 長時間リスニングでも疲れにくいモデルを探している人
向かない人
総評
ORIVETI bleqk Purecaster は、派手さを排しつつも音源本来のバランスを忠実に再現するイヤホンです。
シングルダイナミックドライバーならではのナチュラルさと、交換式ノズルによる微調整性、定位と分離の良さは、多用途に使える汎用性を持ちます。
モニタリング用途はもちろん、日常的なリスニングでも不満の少ない安心感のある音です。
刺激や誇張よりも信頼できる再現性を求める方にとって、Purecaster は堅実な一台としておすすめできます。